えーちょっと、わけがわからないよー? 放課後、居残り教室。 あたしは日誌を書いていた。 先生は細かく書かなきゃ「やり直し」って言うから、今日の出来事を詳細に思い出して。 「日誌くらいでなんでそんなに時間かかるんだ?」 あたしの向かいで肘をついている日吉君が口をひらいた。 日吉君とあたしは日直だ。 でも本当はあたしは日直じゃない。日吉君の相手の子が休みだったのだ。 それで日吉君が「さんに手伝ってもらいます」って勝手に先生に言ったのだ。 (あたし、日吉君とほとんど話したことないのに!) あたしは日吉君を手伝ってあげてるのに、どうも納得いかない。 「そんなこと言うなら、日吉君が書いてよ」 「俺が黒板消すからさんが日誌書くって約束したんだろ」 「なら先に部活に行けばいいじゃん」 あたしが口をとがらせて言うと、 「さんが変なこと書いて出して怒られるのは俺だから」 って無表情で言った。 ムカツク! あたしはクラスメイトの男の子と教室で二人だけというシュチュエーションにすっごく緊張しているのに! しかも、あたしはちょっと日吉君にビビってるから 別に楽しく会話できわけじゃないし。 さらにさらに、いつも機嫌の悪そうな日吉君だから 会話のない雰囲気は最高に気まずかった。 「アチョー」 突然、沈黙をうち破ったあたしの一声に日吉君は心底嫌そうな顔をした。 「なにやってんの?」 「日吉君は格闘家らしいから、こういうのスキかなって・・・」 「古武道だし。さん俺にすごい偏見持ってるだろ」 日吉君は嫌な目であたしを見ている。この目が苦手だ。 お前は理解できない、そういう日吉君の気持ちを感じさせる目つき。 「早く書けよ」 「ぁ、うん」 あいかわらず日吉君にビビッってるあたしは命令口調に素直に従って、日誌に目をおとした。 そしたら、「日付まちがってんぞ」って指摘されて焦った。 その後に、日吉君が呆れたようにため息をついた。 「日吉君はあたしのことをバカだと思ってるでしょ」 「・・・思ってない」 「嘘だ!今ちょっと間おいた!」 「思ってないから、」 「絶対ウソだ」 日吉君はこいつウゼー、みたいな顔をした後に無表情で言った。 「可愛いとは思ってるけど?」 --------------------------------2005.10.09 |