付き合ったばかりの彼氏と別れた。 ずっと好きで片思いでやっと想いが伝わったと思ったら、即行で浮気された。 あたしはあいつに恋してる間、一体何を夢見てたんだろう。 全てを受け入れられると思ってたのに、何一つ理解できなかった。 「おい」 背後から声をかけられた。 振り向いて顔を見なくてもわかる。あたしの部屋に無断で入ってくる男なんか幼なじみの亮くらいだ。 「何よ」 壁をむいてベッドに座っていたあたしは泣き顔を見られたくなくて、膝に顔を埋めてぶっきらぼうに言った。 「いつまでもウジウジしてんなよ、激だせぇぞ」 亮とは同じ学校だし、あたしのこのちっちぇー恋愛は全部知られている。浮気されたことだってどこからか聞きつけてきたんだろう。 「どうせバカにしてるんでしょ」 「してねーよ」 亮はそう言ったけど、片思いの頃から「あいつはろくな奴じゃねぇ」って言ってた亮の言葉に貸す耳を持たなかったあたしを心の中で笑ってるんだ。 「だから言ったじゃねぇか、あいつはやめろって」 亮は呆れたように言った。 (……やっぱりバカにしてる) 「うっせーなぁ!死ねよ」 「死なねーよ」 あたしの暴言に軽く返すと俯いていたあたしの顔をのぞきこんで、 「俺がいなきゃバカなお前はどーにもなんないだろ」 と言った亮をみると唇の端が少し切れて腫れ上がっていた。 「何…どうしたの」 「あぁ、浮気されて泣き寝入りしたどっかのバカの代わりだ。むこうはコレとは比べものになんねぇくれぇやっといたから」 あたしがびっくりしてここ、ここと自分の口元を指しながら訪ねると、そう言って宍戸は指で傷を擦った。 「!!部活、試合前じゃんっそんな暴力沙汰にな…」 「大丈夫だろ、十分ビビらせてきたし(跡部も榊もいるし)」 「あんたもバカだね…」 「いいじゃねーか!バカップル!」 「何それ、告白ー?(笑)」 あたしの涙はもう消えていて、宍戸のバカさに笑った。 「俺は良いぜ、浮気しねぇし、男前だし、テニスうめぇし」 「バカだしね」 あたしも亮も顔をくしゃくしゃにして笑いあった。 --------------------------------------2005.12.10 男前?なチチドちゃまに挑戦。 「どーでもいいよ試合なんか」とかいわないとこがミソ。 |