跡部くんの頭の毛が短くなって一週間。 あたしにその理由をつげようとしない跡部くん。風の噂では少し聞いたけ ど 跡部くんはそんなことをグダグダ言う男じゃない。それはあたしが一番知ってい る。 つるっぱげになろうがアフロになろうが、跡部くんは跡部くんだ。あたしは知ってる。 「あーついなぁー」 「お前今アイス食ってんだろ」 「食べてても暑いもん」 「フン、よくそんな安物が食えるな」 「こんな暑い日は、ハーゲンダッツより氷系のが美味しいんだもん」 「貧乏人が」 「うるせーよ、坊主」 あたしが呟くと、跡部くんの顔が横からのびてきてあたしのうすいブルーのガリ ガリくんのど真ん中にきれいな歯型をつけた。 「 あ ー ! 」 「なんだ、水みてぇ」 「ばかあとべ!」 「あ?」 跡部くんはいつ見ても涼しそうな顔だ。こんなにも太陽がカンカンに照っていて 、こんなにも蝉がミンミンないているのに。 髪を短くしたからかなぁ。 「跡部くんのはねぇ、オシャレ坊主だね」 「?」 あたしの言葉に跡部くんは怪訝な顔をしたので、あたしはとけかけたガリガリ君 をそのきれいな形をした口におしつけてやった!そしたら跡部くんは迷惑そ うな表情をしてから、ガリガリ君をあたしの手から奪い取った。 「お前が食べたいっつたんだろ」 「うん、でも跡部くんが欲しそうな顔してたから」 「誰がこんなまずいもん」 ぶつぶつ文句を良いながら捨てたりせずにアイスを食べてくれてるやさしい跡部 くん。 あたしだけが知ってる跡部くん。大好きな跡部くん。 ------------------06.07.17 …(←やっと立ち直ってきた) 跡部はぶれない。 ヒロインは風船と同じ子です、多分。 |