氷帝に着いて、すぐに逃げようとしたのに不二に腕をつかまれてしまいました。








世界で一番こわいのは 2









「・・・なんで腕組んでるの、離してよ」

「僕と君の仲にそんな遠慮はいらないよ☆」

「(いますぐ縁をきりたいです)」


あたしがこの腕をふりほどけないのは、きっと弱みを握られてしまってるからだろう。跡部とは手もつながないのに。(そもそも普通のカップルとして成り立ってない)
不二にひきずられるままダラダラと歩いていた。でもあたしはこれ以上の不幸があるなんて想像はしなかった。想像する間もなく、身にふりかかったからだ。









「おい、てめぇら何やってやがんだ」



背後から不機嫌そうな言葉、あたしはその聴きなれた声にギクリと肩をすくめた。

(跡部だ・・・絶対ふりむきたくない)

そんなあたしの気持ちとはうらはらに、不二は勢い良くあたしごとぐるんと振り返った。


「やぁ、跡部」


横には満面の笑みの不二、目の前にはものすごくご機嫌斜めな跡部。


「おい、。なんだその腕は」


その腕というのはこの腕でしょうか。あ、そうですよね、仮にも自分の女が他の男と腕を組んで歩いていたら、激昂されるのは当然ですよね。でも、見て!この不二の楽しそうな顔とあたしの疲れ切った表情を!あきらかに何か違いますよね?ね?






心のテレパシーは多分とどいてないんだろう。跡部は近づいてきて、不二の腕をとくと
自分の右腕であたしの肩を抱きかかえた。近いです跡部さん、正直怖いです。


あたしが跡部の怒りようにガタガタブルブルしていると、不二が笑顔で言った。



「嫌だなぁ、怒らないでよ跡部。今日は君の欲しがってたアレ、持ってきたのに」


すると、跡部の腕の力が少しゆるんだ。



「ああ、アレか。」




・・・アレってなんだ?





「そうだよ。体育も含め、ここ一週間の授業風景+1,2年のイベントごとね。」


そういいながら不二は厚めの封筒をさしだした。

「そうか」

跡部も財布から万札を2枚とりだして、その封筒と交換した。


これは・・・もしかして・・・いやいやいくらなんでも・・・。

あたしは嫌な予感にさいなまれながらも、おそるおそる聞いてみた。





「それ、何?」

「え、の写真だけど?」




不二が相変わらずの笑顔で悪びれもなく答えた。あたしには悪魔にみえる。




「・・・は?なんで?」

「僕と跡部はメル友なんだよ☆」

、お前の行動は俺様につつぬけだ」





あたしは驚きに目を見開いて跡部をみあげた。
いや、つつぬけじゃねぇよ。何とくいそうな顔してんだよ。
え、じゃ、あのイメクラ紛いのプレイのこととか不二に言ったの君?絶対そうだよね、不二にもつつぬけじゃん。







「じゃぁ、僕は帰るね。今度はの幼少時代をもってくるよ!」


「ああ、これからも頼む」



不二と跡部はもう青学と氷帝とは思えないくらい、さわやかにあいさつをかわした。

(いやいやいや、これからもじゃないよ)




偵察(じゃなかった)を終えた不二は颯爽と帰って行った。



「こういうこと・・・やめてよね」


不二の後ろ姿を見送りながら、あたしは隣に立つ跡部に呟いた。


「あ?なにがだよ」




跡部はあたしの呟きなんか気にもせずに「好きだぜ、」とか言って満足そうに笑っていた。


-------------06.09.26
跡部君は彼女が青学ということもあって、あんまり会えないので心配だしもっと会いたいしで、たまに会うとすごい上機嫌になります。で、自分の話ばっかりする。