お前にはついていけねぇ
「あたし、宍戸のこと好きだから」
あたしは乙女のように言った。 いや、実際乙女なんだけど
ボトリ。
言われた宍戸はガリガリ君を落とした。
「ぇ、ちょっと、 待て」
目に見えて混乱している頭を軽く押さえていった。
短髪はそんなに好みじゃないんだけど、宍戸は好き。
ブランコの前の柵に あたし達は並んで座ってた。
暑かったけど、他に行く場所もなく蝉の泣きわめく中で
「お前、確か跡部のこと好きじゃなかったんだっけ?」
宍戸はおそるおそる聞いてきた。 困惑している表情が可愛くて好き
「好きじゃない」
あたしは宍戸の質問にあっさり答えた。
「好きって言ってたじゃねぇか」
「あれ、嘘」
「お前・・!」
「だって、宍戸が妬いてくれないかなって思って」
「・・・・・・」
宍戸は黙り込んだ。
宍戸はよくあたしに「お前にはついていけねぇ」っていう。
今回もいうのかな。 そうしたらあたしは振られたことになるのかな?
それはヤダな
蝉が鳴いていた 嫌いだ
宍戸は好きだ 暑いのも嫌い
この公園は好きだけど
俺はこのクソ暑い中で思考回路を動かした。 気温36度だぞ?さっきまで部活してたし。
横にいる女を盗み見ると 俺に告白(だよな?)をしたにも関わらず、無表情で前を見ていた。
予想もしてなかった。 ずっと は跡部が好きだと思いこんでた。
どこが良いんだ?ってきいたら「顔」って即答してたし。らしいと納得してた俺はアホか?
まぁ、なんのアタックもしてなかったけど。 それがらしいと思ってたんだ!
(が俺を好き?)(俺は・・・?)
結構かわいいと思う。 でも何考えてるのか全くよめねぇ
そこがミステリアスでいいのか? 嘘だろ
「宍戸は予期せぬできごとに弱いタイプだね」
頭をかかえてる俺にはサラリと言った。
お前が原因だろ! そう言おうと思っての方をみると、は笑顔だった。
「ぇ、宍戸 顔赤いよ、熱中病?」
そういってにのぞき込まれた俺は 反射的にのけぞってしまった。
自分でもみるみる顔が赤くなってくのがわかった。
激可愛い そう思ってしまった。
どうしよう、「やっぱり跡部が好き」とか言われたら(言いかねん!)
「宍戸?」
不安そうなの顔が前にある。
なんだ、この気持ちは
「渡したくねぇ・・・」
「は?」
「お、俺も好きかも」
俺は人生ではじめて女に好きだと言った。
「うん、知ってる」
はケロリと答えた
おい、今はじめて気づいた俺の気持ちを何でお前が前からしってんだ。
は続けた。
「あたしが好きな人なんだからね」
満面の笑みで言ったに、いったいこいつは今までどんなに苦労せずに恋愛をしてきたのかと思った。
「宍戸、どうでも良いけど、アイス鞄に落ちてアリンコたかってるよ」
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