生徒会の雑務を終えて、手元の書類をそろえたついでに腕時計に目を通す。 いつもの部活が終わる時間よりも大分早い五時を少しまわった時間を示す時間にの顔が思い浮かんだ。 「このプリントやんなきゃー」 今日の授業が終わってすぐ、あいつは数学の課題を出さなかったペナルティで追加課題を担任から手渡された。こういうことはにとって珍しくない。いつも遅刻やら赤点やらで教師から何かしらの課題を与えられている。 憂鬱そうに嘆くに周りの人間は「お前が期限内に課題をださないからだろ」と冷たい視線をなげかけ、さっさと教室を出て行っていた。 「えー待っててくんないの!?」 友人にも愛想をつかされ、不満な声をあげていたの顔が俺の頭をちらついた。 まだあいつ、教室に残ってそうだな。 ・・・待て、俺。 今、教室に戻ってどうする。あいつのことだから、自分の課題を自分でやろうともせずに俺に押しつけるだけだ。先週、あいつの委員会の場に遭遇した時もそうだっただろ? 水に濡れるのが嫌って理由で花壇全面に俺が水やりをする羽目になった。この俺様が。 ゴミ捨ての途中に会うと、俺が焼却炉までゴミ持ってくことになるし、今までにいいように使われてばっかりじゃねぇか、この俺様が。 そうだ、放っておこう。 だいたい、俺はあいつのなんでもねぇただのクラスメイトだし、付き合ってるわけでもねぇし、そりゃぁちょっとかわいいとは思うが・・。 ・・・いや、とにかく関わんねぇ方が良い。 俺はこれから家に帰って明日の練習メニューもまとめなきゃいけねーし、今度の練習試合の組み合わせも考えなきゃなんねぇんだ。 そうだ、今日はこのまままっすぐ帰るぞ。 「あ、跡部だー」 様子を見に来たなんて絶対にばれないように、と目が合うなり顔をしかめる。 「お前、何やってんだよ」 「今ねー、跡部きて欲しいなって思ってたのー。」 満面の笑みでそう言ったが憎らしくて 「跡部ならこのプリントやってくれるでしょ?」 それでも俺の腕は今すぐを抱きしめたくて、疼いた。 可愛さあまって ----------------------------------2009.10.26 (憎さはあるの?) |