「どうしてお前はそうなんだよ!」




赤也が大声をだした。
ああ、まただ。赤也はイライラすると、すぐに怒って大声を出す。
私はいつものことと、床にぺたりとおしりと膝をつけたままやり過ごすように黙っていた。



(お前がどうしてそうなんだよ。)

本音は口にはださず心で毒づいたけど、それがまた赤也の神経を逆なでするらしい。
言いたいことがあるならはっきり言えよ。と赤也はまた怒鳴った。





「別に、言いたいことなんかないし」
「じゃぁなんで怒ってんだよ」
「怒ってない。」
「怒ってんじゃねぇかよ」
「もういい」





はぁ!?とバカみたいに大声をだして赤也は顔をゆがめた。
「勝手にしろよ、」と壁を力任せに蹴って赤也は部屋のドアを乱暴に閉めて出て行った。
ドンと響いたその音に私は一瞬肩をすくめて振り向いたけれど、その時にはもう赤也の姿は見えなかった。




立ち上がって追いかけたい衝動に駆られた。


それでも私の足はピクリともその場を動かずに床に張り付いたままおの場を動かなかった。きっとすぐそばまで来ている私たちの別れと、それを止められない私の素直じゃなさに少し泣きそうになった。



あたしが我慢をせずに素直になれば良いのだろうか。
でも、いいたいこと言ってもまた喧嘩になるような気がする。


赤也のこと好きだ。
あたしが赤也の全部を受け入れたら、この関係は続くのだろうか。


赤也のこと考えるの疲れた。
赤也はあたしと喧嘩するの嫌じゃないんだろうか。
赤也は我慢してくれないのだろうか。





そうして赤也の責任にばっかりしてしまっている自分にも自己嫌悪して、あたしの気持ちは螺旋をえがいて落ちている。
世界で一番好きな男の子だという事実と、その子と自分の噛み合わない現実があたしの思考を鈍くさせる。







、マックいこーぜ」



それでも明日、何も無かったようにしようとする赤也の誘いにあたしは乗ってしまうのだろうか。



君の我が儘、僕のエゴ



(そんなんじゃいつまでも無理だよ)


-------------------------------09.12.02
赤也視点も書きたい。