「今日なー朝、下駄箱みたらこんな手紙入っててん。」
「なんすかそれ?ラブレター?」
「いや、名前書いてへんねん。”頑張ってください、いつも応援してます”やて」
「え、名前書いてないんすか?」
「せやで、しかも今時、手紙て。」
「やばいっすね。」












スピードスター、女を泣かす。







































部活前やから、財前が靴下を片手に言う。せやろせやろ、俺やってちょっとはもてることあるねんで、と得意げな気持ちと、でも俺は一筋やでってことを見せるためにあんまり喜ばんように気をつける。でも、こういうんにいつも食いついてくるが、何となく俯いてて、もしかしたらちょっとだけでもやきもち妬いてくれたらどないしよ。とか思て俺の顔は緩む。









「せやろー?ほら、も見てみ、これ・・・って、!?お前何で泣いてんねん!?」





「あ、ほんまや」
「え、、お前、もしかしてこれ・・・」










手元の手紙と、いきなり泣き出したを見比べて焦った俺に、は「やって応援してんの伝えたかってんもん、」とグズグズ鼻をすすった。
お前、普段そんなんせぇへんのに何でいきなりこういう事すんねん!からの手紙やと解った瞬間に、俺は手の中の手紙の皺をのばす。









「ちゃうねんちゃうねん、とは思わんくて、」





必死に言い訳をする俺に、光が「ダサいっすわ」とかいらん一言をゆうていく。あ、おまえ、さん、俺のタオル使ってください、とかそうゆうんええねん!!
あ、ちょ、も光のタオル使うなや!ほんでよお見たら、それ俺のタオルやん!ちょお、なんで自分のタオルみたいな感じで差し出してんの財前!








「ちょお、ほんまごめん。許して?あ、これ。ええもんあんで、」




謝る俺の方を見もせずに、は俯いたまま「変な消しゴムなんかいらんわ」と差し出した俺の手を払いのけよった。消しゴムちゃうわっ!お前が行きたいゆうてたライブのチケットやーゆうねん。








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謙也くんは財前を光って呼んだり、財前って呼んだりするとおもう。