「もしもし、白石?2こめの駅あったー」
「ほな、左手にスタバ見えるやろ?」
「見えへんけど。」
「え?あるはずやけど」
「ないでー」
「右手にドトールあるか?」
「ない。エーピーやったらあるけど」




「え?、何駅おるん?本町やろ?」
「えーとな、堺筋本町。」
、それ堺筋やん。御堂筋ちゃうやん」
「え?そうなん?」
「難波から御堂筋まっすぐおいでってゆうたやん。」
「大きい道路、真っ直ぐきたつもりやってんけど・・・」



















今日は初めて白石の家に遊びに行く約束をしていて、あたしは少し緊張気味で自転車に乗って自分の家をでた。白石の家から一番近い駅で待ち合わせる。そういう約束で、教えてもらった道順を来たのに、どうやら道を間違えてしまったらしい。電話ごしに、白石のため息が聞こえた。








「やから俺、ん家まで迎えに行ったるってゆうたやん。」







ああ、またやってしまった。あたしは白石のあきれたような言葉に肩を落とす。


例えば、約束していた日に風邪ひいたり、あたしが行きたいって言い出して一緒にいった店が定休日やったり、新しいサンダル履いてデートしたら靴ずれしたり、あたしは白石にこういう迷惑をかけてばかりで、今回も、とため息がでる。でも、あの白石はその度に「まぁええやん。」と言って、嫌な顔なんかひとつもしない。そういう所にあたしはさらに気を落ち込ませてしまう。もっとさばっとした性格やったら良かったのに、と自分でも思う。けど、どうしても白石に悪いなぁと思って、次からは迷惑かけんようにしようと心に決めるのに結局いっつもあたしの不注意でデートは台無しになってしまうのだ。











「もう電車乗って行こかな。」
「チャリどないすんの?」
「・・・人とかに聞いていくから、」
、ええから。もうそこのエーピーで待っとき。俺行くわ」









あたしが「そんなんええよ。」とも「ごめん。」とも、言う前に電話が切れる。
ああ、こんなんやったら、やっぱり大人しく白石の言うこと聞いて、家まで迎えに来てもらってたら良かった。あたしが何度謝っても、白石は笑顔でええよって言うだけやねんやろなぁ。最初から、無駄な労力使わしたくないのに。なんでいつもこうなるんやろ。



今日もあたしが謝っても、優しく「気にしてへんから」って微笑むだけの白石に、あたしがもっとうなだれるっていう繰り返しがはじまることを予想してしまう。この悪循環をどうにかせななーと頭を悩ませながら、でもやっぱり顔は見たいから早く来て欲しいなぁと、あたしは大人しく白石の迎えを待つことにした。














(白石の好きなアロエジュース、エーピーにあるかな?)




ナニワの王子様












(俺にまた迷惑かけたと勘違いして落ち込むが目に浮かぶ。とりあえず、俺がのために時間を使うのが、どれだけ無駄やないかってことを解ってもらうにはどうしたらええんか考えながら、の元に急いだ。ほんまいつもいつも、失敗よりも落ち込むのをやめさせる方が大変やっちゅうねん。なんやったら、キスのひとつくらいもろてもええかな。今日、俺ん家やし。)












----------------------------10.02,28
企画・ナニワの恋愛処方箋様。参加させて頂いてしあわせです。


ヒナアットマシュデリ


(白石ん家=南梅田小学校=肥後橋〜北浜?と推測。)(そしてアロエ好きの捏造。)