ついさっき3階のこの教室から、1階の廊下の窓に鳳の姿を確認してホッとしてたのに、なぜか鳳の笑顔はあたしの目の前にある。え、魔法?とか思ってたら、彼はお得意の満面の笑みで「愛のパワーだよ」とぬかしやがりました。 (そういうの、ほんと嫌なんですけど) 緩みきった目の前の顔面に声もでない。 「またそんな顔して、ほんとは俺のこと好きなくせに」 「好きじゃない。むしろ嫌いだよ」 「でもその辺にいる親父よりマシでしょ?」 「中身が普通だったらその辺の親父のほうが好きだよ」 「……殴っていい?」 「えっ、はぁ?」 休み時間の教室の中、あたしはなぜこの人に愛の告白を無理矢理させられようとしているのでしょうか。(その上殴られそうに) 昼休みなんて、他のクラスのみなさんもたくさん行き交うのに、この周りの視線をどうしてくれるんだ。日頃から一方的につきまとわれて、その上クラスメイト達も「あの二人って付き合ってるんだよねー?」「うん、多分」なんて会話も耳にするようになった最近、それは絶対に無い!ってことをクラスのみなさんにも本人にもしっかり伝えなきゃなんないなーって思ってたとこだ。 ちょうど良いぞコラ、よーし。今日こそはっきり解らせてやる。 「あのね、前から何回も言ってるけどね、」 「から好きって一度も言われたことないけど?」 「ぬぁ。(腹立つ)」 「上目遣いするんだったらもっと目を潤ませて欲しいなぁ」 「睨んでるんですけど」 ああ、ほんとどうしよう、とうんざりして鳳を見ると、彼の肩越しに密かに憧れている宍戸先輩がちらりと見えた。その上に宍戸先輩が明らかに気の毒そうな目であたしを見た後、助けてくれるどころか関わり合うのを避けるように、目をそらして消えた。 泣きそうになった。「うわ、潤ませたらリアルにエロい…。」とか言う鳳の寝言が遠のくあたしの意識を呼び戻してくれました。 「いっそこのまま保健室に行かない?」 「今日はカウンセリングの先生がいる日じゃないよ?」 「の体は俺がカウンセリングしてあげるよ」 「(一瞬でいいから死んでくれないかな)」 「俺、この時の為に生きてきたって言えるよ」 「……おちついて?あたし、本当に鳳のこと好きじゃないよ。」 「そんなこと言って、後で取り消しても聞かないよ」 「お前!ここに書いてやるよホラ!き、ら、い、です!お前に手紙書くなんて最初で最後だぞこのやろう!なんなら拇印も押してさしあげましょうか?」 「これじゃぁ手紙じゃなくて証明書だよ?おバカなんだから☆」 「俺の心をくすぐる為にわざとでしょ?そんなとこも可愛いけどね☆」そんな言葉とともに、目の前にあった藁半紙のプリントの裏にハイマッキーで書いたあたしの本当の気持ちはできて5秒で世界で一番きらいな男に笑顔で破られました。 (そのくせ捨てずにポケットに入れてました。ほんときもい) 切ないまでのラストレター 氷帝学園のみなさん、そんな目であたし達を見ないでください。 (最初で最後の手紙はファイリング) ----------------2010.02.12 企画に出そうと思ってたっぽいもの。ファイル整理してたらでてきた・・・。だしたのかな? 氷帝では藁半紙など存在するのだろうか。してたら萌える。 |