あたしは勉強もできないし、運動神経も良くないし、リーダーシップもとれないし、お金持ちでもない。そんなあたしが跡部くんと並んでいると、跡部くんはあたしから何もかも奪い取って生まれてきたんじゃないかと疑ってしまうこともあるくらいだ。
どうして跡部くんはあたしなんかと付き合ってるんだろう。






「口でそう言って、自覚してんのを示してりゃいいと思ってるお前も好きだぜ。、そういう向上心のねぇとこ」


笑みを浮かべながら言った跡部の言葉は半分正解で、でもあたしだって半分は跡部に釣り合おうとする気持ちだってある。
そんな反論が心の中でちらりとうごめいたけど、どうせ言ったて「普通はそんなもん直接俺に言わずに、自分で努力するもんだ。」とあしらわれるのが目に見えていたのでやめといた。




「もしかして、もうちょっと出会うの遅かったら、跡部くんは他の子と付き合ってたのかな」


跡部くんより完璧じゃない子なんて、他にすごいたくさんいるし。
そう呟けば、跡部くんは意地悪な顔をして、言った。



「そんなことねぇよ、お前ほど何もできない奴なんて珍しい。」


そして跡部くんはあたしの頭を撫でた。そう言うと、あたしがグズグズになってくのを跡部くんは知っているのに、ずるい。





「お前ほどずるい人間がこの世にいるかよ。」


そんなあたしに跡部くんは、釘をさすのを忘れない。








跡部くんには敵わない。